“知識豊富”な現代小学生…野球指導者が嫌われるNG行動は? 令和の大人に勧める「7指針」

ホークスジュニアの参謀役・若林隆信コーチ…選手の意図に「指導者が気づけるかが大事」
情報化社会に生きる“現代っ子”たちを教える際の心得とは何か――。全国の選りすぐりの逸材小学生が集う「NPBジュニアトーナメント」(12月26日~29日)に向けて、心を燃やす元プロ指導者がいる。史上3チーム目の連覇を狙う「福岡ソフトバンクホークスジュニア」の若林隆信コーチ(元中日、広島)だ。「ジュニアの活動が始まると眠れなくなる時もありますね」。普段はホークスのアカデミーで子どもたちを教える若林コーチに、少年野球指導において大切にすべきことを聞いた。
若林コーチはアカデミーの指導に13年ほど携わり、ジュニアコーチは今年で3年目。「子どもたちに伝える難しさはありますが、野球界の“土台”の部分なのですごくやりがいはあります」。今夏のU-12W杯で準優勝した日本代表でも、昨年のジュニアメンバーである外山泰基(福岡ベースボールポニー)、大原颯二郎(糸島ボーイズ)の両選手が活躍。「スクール生やジュニアの選手がその後活躍するのを見るのは、すごく嬉しいですね」と微笑む。
多くの子どもたちと接してきた若林コーチが感じる、現在の小学生の特徴とは何か。昔に比べ「野球の知識が圧倒的に豊富」だと評する。「YouTubeなどのいろんな情報源があるので知識がものすごい。『明らかにあの動画を見て、この打ち方をしているな』とわかる子もいます」。
だからこそ、どんな情報源をもとに、どんな意図を持って練習をしているのか、教える側が気づけるかが大前提。その上で「やっていることを絶対に否定しない」ことが重要だと語る。
「否定をしたら、それ以上話を聞いてくれなくなります。逆に『こういう意図でやっているんだね』と話すと、聞く耳を持ってくれます。その子の考えにまず寄り添うことが大事です」
選手の意図に気づくためにも、指導者側は日頃から最新の情報をキャッチアップし、観察眼を持つことが肝心だ。「私も時間がある時には動画サイトなどをチェックします。自分の指導が正しいかの確認にもなりますし、その子が壁に当たった時に『別の方法もあるよ』と提示できる。自分の考えや経験だけを押し付けるのは、今の時代は絶対ダメです」。学ぶ姿勢が何よりも子どもたちを惹きつける“説得力”になる。それが令和の指導者のあるべき姿だ。
選手に寄り添い「サポートする」…そのためにも「知識の引き出しが必要」

若林コーチは、佐賀学園時代にエース兼4番として2年連続夏の甲子園に出場。その後中日と広島でプレーした。「プロでは思うような活躍ができず、ポジションも捕手以外は全てやりましたが中途半端でした」と振り返るが、その経験が今の指導に生きているという。
「いろんなポジションを務めたからこそ各ポジションの選手の気持ちがわかるし、実績がないからこそ、しっかりと知識を身につけて自信を持って伝えることが大事だと考えています。特にジュニアはレベルの高い子たちを預かっているわけで、それが責任でもあります」
そんな若林コーチが、スマートフォンの待ち受けにして、毎朝起きると必ず見つめるものがある。球団が掲げる7か条の育成方針「ホークスメソッド」。これは、1軍選手からジュニアまで指導者共通の理念で、チームの強さの源ともなっている。
【1】選手をよく「観」よう
【2】「長所」を見つけ、伸ばすことを助けよう
【3】「気づき」を与え、自ら考えることを促そう
【4】小さな「成功体験」を重ねて、やる気を引き出そう
【5】「競争」や「挑戦」を通じて、成長を加速させよう
【6】過去の経験や知識にとらわれず、「学び」続けよう
【7】周りと連携し、みんなで「育成」しよう
「主役(選手)の意志を尊重し、一人ひとりに粘り強く寄り添う」――それが野球指導者の役割。若林コーチの考え方も、これらの育成理念に基づいている。
「“指導”という言い方だと、どうしても上から目線になってしまう。だから私は、選手を“サポートする”というふうに考えています。子どもたちの野球が上手くなる、野球を好きになる、そのためのサポートをしていく。だからこそ、教える側の人間は絶対に、知識の引き出しを多く持つべきだと考えています」
選手の長所に気付き、挑戦できる環境を作って、どれだけ伸ばしてあげられるか。そうした考え方は一般社会にも活用できるものがあるだろう。若林コーチは、これからも主役たちに寄り添い、ジュニアでの勝利はもちろん、その先のより良い未来へと導いていく。
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