学童野球に「メンタルトレーニング」は必要か 効果如実も…“最終回窮地”に表れた課題

青森・八戸ベースボールクラブが感じた「メンタルトレ」の効果と課題
「監督の口から発信されることは、すべてグラウンドで表現される」。青森・八戸市の少年野球チーム「八戸ベースボールクラブ」の代表を務める山市幸大さんは、チーム発足7年目を迎える今、それを強く実感している。2023年に“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」初出場を果たすも、初戦敗退。全国の舞台での敗戦を機に昨年は「メンタルトレーニング」を採り入れたが、今年は回数を減らした。この選択も「監督の影響力」に起因している。
昨年はメンタルトレーナーを頻繁に招聘し選手、指導者ともに精神面での保ち方を教わった。メンタルトレーニングの効果は如実に現れ、試合中に気分が沈んでしまいがちで大きな声を出せなかった選手に「変化」が見られた。例えばチームメートがヒットを打ったり、ファインプレーを披露したりした際、声を出してチーム全体で盛り上がれるようになった。
藤ヶ森貴之監督は「チームに一体感が出るようになった。試合前の緊張の持っていき方も勉強になりました」と舌を巻く。一方、「マイナスの出来事が起きた時に気持ちを切り替えられない」といった学童ならではの課題も残ったという。実際、昨年は主要大会で最終回に5点差をひっくり返され、サヨナラ負けを喫する場面が2度あった。メンタルを鍛えるのは容易ではないと思い知らされる一年だった。
学童は失敗ありき「結果を求めずに練習でやったことを出そう」

そんな中、今年はメンタルトレーニングの比重を下げた。山市さんは「メンタルトレーナーの言葉より、常に子どもたちと一緒にいる指導者の言葉の方が子どもたちには届きやすい。子どもにとって監督は神ではないが、特別な存在。監督が1年間通して、0から100までドリルのように言い続けることが大事だと気づきました」とその意図を説明する。
藤ヶ森監督自身、メンタルトレーニングからヒントを得て「日頃から前向きな声かけをする」ことや「大会前に気分が落ちるような言葉は口にしない」ことを心がけている。「もちろん言うべきことは言いますが、瞬間湯沸かし器のごとく、まくし立てるように喋ることも、みんなの前で怒ることもありません」とも口にする。
「学童は失敗ありき。失敗はOKなので、『結果を求めずに練習でやったことを試合で出そう』という話をよくしています。経験して、失敗して、悔しい思いをしても、その次に成功すればものにできる。そして段々、人の後ろに隠れていないで『上手くなりたい』という意志を持つようになる」と藤ヶ森監督。メンタルトレーニングが選手の成長の後押しになるのは間違いないが、一番の薬はやはり、指導者の言葉だ。
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