勝利を求める中でも必要な“経験値”…堺ビッグボーイズの瀬野GMが考える未来図
試合でしか得られないものがあり、幼少期ほど実戦で経験を積むことが成長につながる。今年8月に行われた「第55回日本少年野球選手権大会」で初優勝した、大阪・堺市で活動する「堺ビッグボーイズ」小学部(以下は堺ビッグ)。First-Pitchでは小学生・中学生世代のカテゴリーで日本一を成し遂げた監督に取材。チームのGMを務める瀬野竜之介氏に指導方針を聞いた。
試合における“一発勝負”には、メリットもあればデメリットもある。今でこそ高校野球界で独自のリーグ戦を行う地域はあるが、小学・中学野球ではトーナメント制の大会がほとんどだ。予選を勝ち抜き、全国の大舞台に来れば、誰しもが“勝利”を目指すのが当たり前かもしれない。ただ、その一方で出場機会や選手起用は偏る傾向もみられる。
今夏の大会は4回コールドゲームになる試合(主に初戦)が多く、負けたチームはわずか1打席で終わることもあった。勝負事なので仕方がないとはいえ、瀬野GMは「せっかく全国から様々なチームが来ている。1打席、1日で終わる状況はもったいない。公式戦、ましてや全国大会で得られる経験値はとても大きいです」と口にする。
堺ビッグは優勝したことで4試合を経験できた。試合数が多ければ自然と多くの選手を起用でき、緊迫した場面を乗り越える成功体験も生まれる。堺ビッグはこれまで全国未勝利だったが、試合を重ねるごとに成長し、子どもたちも大きな自信を手にしたという。ただ、初戦敗退したチームはどうなのか――。疑問は残った。
全国大会で初戦敗退のチームにも経験を積める場所を
「全国大会は時間とお金をかけて来るチームがほとんど。グラウンドの手配、宿泊費などの問題もありますが、例えば、負けたチーム同士で試合をやる。試合後は交流を深める場を設けてもいい。それぞれ異なる文化もあるので、子どもや指導者は勉強にもなりますよね。あと、保護者の方もスタンドで応援している息子、娘を見たいわけではない」
できるだけ多くの選手が出場機会を得て、経験を積めれば、上のカテゴリーへの準備もスムーズにできる。ただし、競争意識を失わせてはいけない。努力しなくても試合に出場できる環境は、マイナスしか生まないからだ。
「我々クラブチームは義務教育の場ではない。過去に『どうせ試合には出られる』という雰囲気があり、弱さを露呈していたことがありました。今、大切なのは、勝利への執着、乗り越える力を野球を通して、どう子どもたちから引き出せるか。そうしたメンタルを築く環境をつくることが大切だと感じています」
全ての球児が心から野球を楽しめる環境作りを続ける瀬野GM、高曽学監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。子どもたちの接し方、チーム方針などを披露してくれる。
今夏日本一…堺ビッグボーイズ小学部の指導・練習法を紹介!
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