役職は“おばちゃん”「権力を行使しようとしたらダメになる」

 棚原さんが自身の指導を貫く上で、“邪魔”になるのが肩書きだ。チームのホームページに記されているのは、監督でもコーチでもなく「おばちゃん」。選手からも、おばちゃんと呼ばれている。

「上に立った人は名前をもらうんです。監督とかコーチとか、理事長とか。しまいにはその人らが権力を持つんです。権力を持つということは話しにくい存在になる。だから、私は肩書を持たないことにしたんです」

 チームが大会に参加する際には、監督が不可欠となる。そのため、山田西リトルウルフにも学年ごとに監督がいて、棚原さんの三男・徹さんは総監督という役職がある。ただ、あくまでチーム運営上の肩書きで、徹さんもグラウンドでは「徹おっちゃん」と呼ばれている。

 チーム立ち上げから50年が経ち、棚原さんの教え子は1200人になった。OBにはオリックスのT-岡田外野手もいる。少年野球チームの指導者として誇らしい経歴を持つが「横柄さを持ったらダメ。権力を行使しようとしたらダメになる。今でもOBが30人以上戻ってきてスタッフとして手伝ってくれますが、偉そうにする人は誰一人いないです」と語る。選手たちにとって、近所の“おばちゃん”であり続ける。

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