「野球は絶対やらない」はずが…僅か9か月でプロの登竜門 小6逸材が両親につけた“注文”

文:石井愛子 / Aiko Ishii

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野球を本格的に始めて約1年…NPBジュニア出場を果たした三上琥太郎投手

 短期間で“逸材小学生”の仲間入りを果たせた要因の1つに、保護者の「見守る姿勢」あった。2025年12月26日〜29日に神宮球場と横浜スタジアムで開催された「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」に、野球を本格的に始めてわずか9か月で、“プロの登竜門”NPBジュニアに選ばれた異例の選手がいた。広島東洋カープジュニアの左腕・三上琥太郎投手(6年=広島・飛渡瀬バッファロージュニア)。大舞台に立つまでの経緯を両親に聞いた。

「絶対に野球はやらない」

 小さい頃からそう口にしていた息子が、野球を始めて約1年後にはカープジュニアの背番号「1」を背負い、神宮やハマスタのマウンドで投げている姿を、誰が想像できただろうか。

 3兄弟の三男として育った三上くんが、本格的に学童チームに加入したのは小学5年生の10月のこと。「それまでは中学の硬式野球部の練習に参加させてもらうことはありましたが、捕ったり投げたりバッティングを一緒に行う程度で、もちろん試合経験もありませんでした」と父・恭範(やすのり)さんは振り返る。

 三上くんには野球強豪校に進学した2人の兄がおり、恭範さん自身も高校まで白球を追いかけた元球児と、幼少時から野球は身近な存在ではあった。しかし、「今思えば、かなり厳しかったと思いますね」と恭範さんと母・千尋さんが苦笑いを浮かべて振り返るのは、兄たちへの指導だ。

「長男と次男については、正直、僕が無理やり野球をやらせていた部分がありました。それでも2人は文句を言わず、ついてきてくれた。その姿を見ていた三男は、『絶対に野球はやらない』とよく言っていました。だから三男に関しては、自由に好きなことやらせようと考えていたんです」

 ところが、5年生になると、三上くん自ら両親に「チームに入りたい」と打ち明けてきた。理由は「お兄ちゃんたちみたいに、野球をやってみたいと思ったから」と憧れがあったようだ。加えて、両親に“注文”をつけた。「ガンガン言われるとへこんでしまうから、自分のことはほっておいてほしい」。

不安はあるものの…口を出さずに見守ると決め「親として気持ちが楽に」

三上の父・恭範さん(左)と母・千尋さん【写真:石井愛子】

 誰かに促されたのではなく、自分自身で入れたスイッチ。その瞬間から、三上くんの人生が大きく動き始める。

 所属チームの練習は、木曜と土日を合わせた週3日。それ以外の日は、一人で黙々と自主練習に取り組んだ。野球スクールやトレーナーには通わず、バッティングセンターにも足を運ばない。動画サイトやTikTokを参考にしながら自分で練習メニューを考え、時には寮生活を送る兄たちからアドバイスを受けつつ、自分なりに野球と向き合った。6年生になると、球速は最速121キロを記録するまでになった。

 さらに大きな転機が、学童チームの監督から勧められたカープジュニア挑戦。不安を抱えがならも、本人は「やってみたい」と前向きに挑み、わずか16人しか選ばれない“狭き門”を潜り抜けた。「正直、サインプレーやルールさえも十分に理解していないのに、まさか選ばれるなんて」と両親も驚きを隠せなかった。

 ジュニア入りを境に、本人の自覚はさらに高まった。道具の手入れも自分から行い、練習にもより主体的に取り組むようになった。“自分で選んだ野球”という意識の変化が、行動にはっきりと表れていた。

 そして本番の大舞台では、初戦の日本ハムジュニア戦で4回1安打無失点と好投するなど、3試合に登板してベスト4進出に大きく貢献。そんな息子の姿を見て、両親は改めて子どもとの関わり方を見つめ直すようになった。

「長男、次男には厳しく言い続けてきたからこそ、今になって気づくこともあります。子ども自身が分かっていることを、親が繰り返し言うと嫌になってしまいますよね。三男のことも、正直心配はつきませんが、口を出さずに見守ると決めたので、親として気持ちが楽になった部分もあります」

 三上くんは中学進学後、ボーイズリーグのチームで硬式野球をする予定だという。恭範さん、千尋さんは最後に、こう語ってくれた。

「見守りましょう。応援し続ける親の姿。それが、子どもにとって一番の力になるのだと思います」

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