
巨人と近鉄で通算67勝…甲子園出場に迫る九州文化学園高を率いる香田勲男監督
高校生の指導には、密接なコミュニケーションが欠かせない。巨人、近鉄で通算67勝を挙げた香田勲男氏は、九州文化学園高の野球部監督に就任して5年目を迎えている。昨夏の長崎大会で準優勝。春夏通じて同校初の甲子園出場まであと一歩に迫った。昨秋の長崎大会もベスト4に進出。手腕を発揮する中で、指導へのこだわりを語った。
「高校生は体がまだ出来上がっていない。まず体調管理、体の痛みには非常に気を遣っています。彼らも試合に出たかったり、メンバーに入りたかったりすると、それこそ痛みを隠したりするんです。なので1日我慢すればそこで済んだことを、無理してやったことで1週間ダメとか2週間ダメとか1か月ダメとか半年ダメとか、怪我が長引いてしまうのは一番良くないという話はよくしています」
高校生に限らず、成長期の子どもに無理は禁物。公式戦が迫っている時などは試合に出たい気持ちが先に立ち、どうしても無理しがちだが、怪我が悪化すると将来のプレーにも影響する。故障した場合は早めの完治を優先させるのである。
自身の高校時代はスパルタ指導が当然のように行われていたが、時代は大きく変化。選手の変化にいち早く気づくには、普段のコミュニケーションが重要となってくる。「高校生って半分大人で半分子どもみたいなところがある。対話というか会話を心がけています。コミュニケーションは大事かなと思っていますね」。専用グラウンドに隣接する合宿所の監督室に選手を呼び、定期的に進路を含めた面談を行っている。
練習でも自分の考えを押し付けず、選手に考えさせて理解を深めさせる。「試合で負ける時はだいたい、四死球や失策が絡んで失点する。投手にはコントロールが大事で、無駄な出塁や進塁はさせないように言っています。野球は点取りゲームなので、点をやらなかったら負けません」。そのために投手に必要なのが制球力となる。
まず、制球力を良くするためにはどうすればいいのか選手に意見を聞く。「下半身が安定した方がストライクが入ります」と返答があると、「下半身を安定させるためにはどうする?」と質問する。選手が「走ります。ランニングが大事です」と言うと、「そうだな、やろう」と返す。ここでも積極的にコミュニケーションを図って、選手の練習意欲をかき立てるのである。
避ける“押し付け”、必ず伝える練習の意図「説明はしっかりしないとダメ」

「選手に口に出してもらって、何のためにこの練習をやっているのか、目的もしっかり分かった上で取り組んでもらいたい。『これ何の練習?』と疑問を抱くことがないようにしないといけません。しっかり言葉で言わせて、伝えて、やらせていくのが大事なことかと思っています。説明はしっかりしないとダメですね」
プロでも巨人や阪神などで18年間コーチを務めた実績があるが、技術面でも押し付けることは避けている。投球フォームにしても「『こうした方がいいかもしれないな』とは言いますけど、『こうやって投げなさい』というのは言っていません」という。
その理由を「その子の個性がなくなってしまう」と説明。「ある高校に行くと、みんな同じ投げ方になってしまうチームもある。私はそれは違うなと思っています。選手は背の高さも違えば、手足の長さも違う。上からとか横からとか、投げやすい位置がある。その子の個性があるんです。自分が一番投げやすいところで、一番気持ちよく投げられるところで投げるというのを尊重しています」。個性を生かした指導なのである。
その中でも助言するポイントは当然ある。「これはちょっと怪我しそうだなとか、これだとストライクが入らないなという部分があれば、ちょっとずつアドバイスはします」。投手の場合、肘や肩の故障は長期離脱の可能性が出てくる。「肩の高さより肘が下がってしまうと、どうしても肘に負担がかかる。靱帯が剥離して手術する選手もいる。怪我につながりそうな投げ方であれば、そうならないようにアドバイスしています」。
ステップについても「極端に開いているとか、極端にクロスしている場合は、『力をしっかり伝えるには真っすぐステップした方がいい。力が伝わりやすいんじゃないか』と言うことはあります」という。ただ、怪我の危険性がないと感じる場合は選手に任せており、「好きなようにやりなさいと言っています」と明かした。
コミュニケーションを密にとり、体調管理に目を配る。練習の目的を理解させ、個性を尊重する。香田監督の指導に、九州文化学園が台頭してきている理由が透けて見える。
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