小6で破格の183センチ&87キロ 問答無用で「外野が下がる」…元プロも認める“技術”

文:宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki

XFacebookLineHatena

西武ジュニアの五十嵐悠晟内野手は右打ちに「一塁守備も上手」

 NPB12球団などが小学5、6年生のジュニアチームを編成し優勝を争う「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」が今月26から29日まで、神宮球場と横浜スタジアムを舞台に開催される。21回目を迎える今年、初優勝を狙う埼玉西武ライオンズジュニアに、小学6年生にして身長183センチ、体重87キロの体格を誇るホープがいる。

 まるで1人だけ大人が交じっているかのように、ひときわ目を引く。五十嵐悠晟(いからし・ゆうせい)選手(八海シャークス)。右投右打でポジションはファースト。新潟県南魚沼市在住で、毎週末の活動日には母が運転する車で約2時間半かけて、主に埼玉県内で行われる練習や試合に通っている。

 いまだに、自分より背の高い同級生に出会ったことがない。靴のサイズは30センチで、しかも西武ジュニアの育成アドバイザーを務める豊田太郎氏の分析によると、身長はまだ伸びる余地があるという。中学3年の兄も現在189センチの長身だそうで、五十嵐くん本人は「195とか……198センチとか欲しいです」と屈託のない笑顔を浮かべる。身長を伸ばす秘訣を聞かれると、「新潟のおいしい米を食べていることと、いっぱい寝ていることだと思います」と、さりげなく“米どころ”の地元までアピールした。

 チームを率いる星野智樹監督は179センチで「見上げていますよ」と笑う。現役時代に強打の内野手として活躍し、現在はジュニアチーム代表を務める白崎浩之氏とはほぼ同じ身長。チーム関係者を通じて197センチ、112キロの西武の大砲、村田怜音内野手のソックスを譲り受け、「サイズが丁度いい」と愛用している。

 それでいて、体格から受けるイメージとは裏腹に「右打ちが得意で、当てるのが上手い」と星野監督が評する。白崎代表は「一塁守備も上手で、ショートバウンドの送球をすくい上げるミットさばきなどは素晴らしいです」と称賛。五十嵐くん自身も「理想のバッティングは、右中間に打っていくこと。外角を攻められることが多いので、それを狙って打っていきたいです」と、バットを振り回すつもりはない。

期待のW右腕は「無失点でチームの優勝に貢献したい」

注目選手の梶原煌斗(左)と小島颯【写真:宮脇広久、高橋幸司】

 とはいえ、小学生離れした体格だけでも迫力満点で、相手チームを威圧する。チームメートで投手として期待の梶原煌斗(かじはら・きらと)選手(6年=小立少年野球)は「覇気が感じられて、相手はびびると思います」、小島颯(こじま・そう)選手(6年=栗原ビーバーズ)も「打席に立てば相手の外野が下がるし、ファーストを守ると味方の内野は的が大きくて投げやすいです」と、五十嵐くんを頼もしげに見上げる。

 打席では左足を引き、バットを寝かせて右肩に乗せるようにして構える。目標のプロ野球選手は、巨人からメジャー移籍を目指している岡本和真内野手で、同じ背番号「25」を背負う。長打力の方も今後、西武ジュニアでのプレーをきっかけに、めきめき伸ばす可能性がありそうだ。

 一方、チームとしては「守備がいいところが特長」と星野監督は見ている。出場メンバー16人中、投手登録は6人で、前出の梶原くん、小島くんの両右腕は制球力が身上だ。

 山梨県富士河口湖町から通う梶原くんは「日本ハムの伊藤大海投手のように、たとえばアウトコースなら、ホームベースぎりぎりにズバッと決めるような投球をしたいです」。地元・埼玉の新座市に住む小島くんは「(西武からメジャー移籍を目指している)今井達也投手の、四球が少なく、仲間にミスがあっても表情を変えずに同じ感じで投げられるところを真似したいです」と抱負を述べる。そして2人は「無失点でチームの優勝に貢献したい」と口をそろえた。

 星野監督は「各選手が複数ポジションを守れる練習をしていて、投手をやれる子は他にもいます」と付け加える。NPBジュニアトーナメントでは1日70球以内などの投球制限があるだけに、投手の頭数は多いに越したことはない。内野手登録の五十嵐くんも「投手もちょこちょこやっています」と請け合う。チーム一丸となって、念願の初優勝へ向かう。

星野智樹監督も参加…無料登録で指導動画が250本以上見放題

 西武ジュニアの星野智樹監督、巨人ジュニアの西村健太朗監督、日本ハムジュニアコーチの須永英輝さん、中日ジュニアを2度の日本一に導いた湊川誠隆さんらも参加している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」(ターニングポイント)では、無料登録だけで250本以上の指導・育成動画が見放題。First-Pitchと連動し、プロが磨き上げた技術や、指導者の悩みを解決する最新理論などを紹介しています。

■専門家70人以上が参戦「TURNING POINT」とは?

■TURNING POINTへの無料登録はこちら

https://id.creative2.co.jp/entry

トレンドワード