小学生の技術指導はなぜ難しい? 楽天Jr.監督が指摘…逸材でも理解し難い“自分の形”

文:川浪康太郎 / Kotaro Kawanami

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楽天ジュニアの寺岡寛治監督、成長後押しする「しつこく言う」指導

 今月26日に、選りすぐりの逸材小学生が集まる「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」が開幕する。のちのNPB選手を多数輩出してきた同大会。難関を突破した精鋭がそろうとはいえ、小学生年代の理解力には限度がある。2018年以来7年ぶりの優勝を狙う東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアの寺岡寛治監督は、「しつこく言う」ことで選手の理解を促進させている。

「理解していない時の反応が分かるようになってきたので、そういう時は理解するまで何回も、しつこく言うようにしています」。楽天で投手としてプレーしたのち、2023年に現役を引退して同年から楽天イーグルスアカデミーコーチに就任した寺岡監督は、小学生年代の選手と接するうちに、表情を見て理解しているか否かを判断できるようになったという。

 寺岡監督は「おそらく、(小学生年代は)自分の形を理解するのが難しいのだと思います。どういう形でバットを振っているか、どういうフォームで投げているかといったことが理解できず、『なぜ指摘されるのか分からない』という子が8割以上」とも話す。それは高い技術を持つNPBジュニアの選手も例外ではない。

 もちろん、頭ごなしに「しつこく言う」だけでは理解は進まない。寺岡監督は「現状を教えて方針を示す」ことが大切だと考えている。例えば、選手が前から来るボールに間に合わない軌道でスイングしている場合、軌道を修正するよう指摘して、速い球にコンタクトするための練習に取り組ませる。「現状」と「方針」を明かした上で根気強く伝え続ければ、おのずと選手は成長する。

選手間の声出しにもこだわり「意味のない声は出さなくていい」

楽天ジュニア・寺岡寛治監督【写真:川浪康太郎】

 指導者から選手だけでなく、選手間で「しつこく伝え合う」ことも大切だ。寺岡監督は「チームプレーなので、選手同士が例えば『やってはいけないプレー』を言い合えばそれが体に染みつく。少年野球でよく聞く『さあこーい!』のような意味のない声は出さなくていいから、必要な声かけをできるようにしようと言っています」と説明する。

 例えば、無死満塁の場面では打者にとってライナーゲッツーに倒れるのが最悪のケースのため、「ライナー注意だよ!」と声を出す。一塁走者に牽制球が投げられた時には「バック!」と声を出す。全員が共通認識を持って確認し合えば、最悪のケースを回避する可能性は高まる。

「必要な声を全員が咄嗟に出せるようになると、もっと強くなれる」と寺岡監督。各チームから選ばれた精鋭たちが勝利に向かって1つになるためには、指導者も選手も「必要な声」を出し続けなければならない。

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