
元ヤクルト・宮本慎也氏が明かす胸の内…学童軟式野球大会を開催する理由
少しでも野球人口の増加に貢献したい思いがある。「アルパインプレゼンツ 第10回宮本慎也杯学童軟式野球大会」の3位決定戦と決勝戦が11月22日、東京都大田区の大田スタジアムで開催された。128チームが参加して3月8日に開幕し、8か月にわたって熱戦が繰り広げられたトーナメントは東京都品川区の品川レインボーズが初優勝を飾って閉幕。節目の10年目を終え、大会長で元ヤクルトスワローズの宮本慎也氏が、大会開催の意義に言及した。
「実際に、この大会を開催して野球人口が増えるかと言えば、冷静に考えると増えない。今、野球をやっている子どもが大会に出ているという感覚です。ただ、プレーしている選手の弟や妹が両親と来て『僕もやりたい』『私もやりたい』と言ってくれると、多少は貢献できるかなという思いはある。やっぱり、野球人口を増やしたい考えはあります」
2013年に現役引退した当時、長男・恭佑さんが野球を始めた時期だったため、学童野球を見る機会が増えていたという。そんなある日、社会人時代から付き合いがある1992年バルセロナ五輪の日本代表4番・徳永耕治さん(日本石油=現ENEOS)に「少年野球大会をやらないか」と声をかけられたのがきっかけとなる。「いずれはやりたいと思っていた」という自身の考えとマッチし、2016年に第1回大会を開催した。
若い世代の人口が減少し、自然と学童野球の人口も減っている中で、野球界の将来に強い危機感を抱いている。「20~30年したら、野球はマズい状況になると思っているんです。へたするとマイナースポーツになる可能性が高くなってきていると感じています。そういうのに少しでも抗っていきたいのです」。まずは野球を始める入り口である学童野球で、野球の楽しさを感じてもらいたかったのだ。
8か月にわたる戦い…参加費は無料、出場希望チームが殺到して抽選制に

44チームで始まった第1回大会。参加費は無料で、球場使用料を含めた運営費の多くを宮本氏が負担している。「なんだかんだお金は、かかります。無理ですよ」というスタッフの声を振り切ったそうだ。プロ通算2133安打を放ち、ゴールデン・グラブ賞を10度受賞するなど球史に残る活躍をした名選手は、できる限り選手や保護者との記念撮影にも応じる。評判は広がり、大会を重ねるごとに参加チームは増加した。
最大146チームで開催したこともあったが、「途中で雨天中止もあったり、さばけなくなって、スタッフから悲鳴が上がりました」と現行の128チームになった。優勝まで7試合勝ち抜くことが必要となるシステムである。当初は申し込み先着順で参加チームを決めていたが、「開始3分で終わるんです」と参加希望チームが殺到した。苦情も出たほどで、抽選制に落ち着いた。
「みんなが出たいと思ってくれる大会になっているのかなと感じます」。他の大会への配慮も忘れない。日曜日の開催が多い他の大会とできるだけ日程が重ならないように、試合は全て土曜日に組んでいる。選手への負担を考慮し、ダブルヘッダーは行わない。3位決定戦を含めて128試合が行われるため、8か月間の長丁場の戦いとなっている。
当然、来年以降の継続も見据える。「スタッフは大変でしょうけど、もちろん続けていきたい。ユニホームを着て、ボール、バット、グラブを使って思い切り野球をやってほしい。野球が楽しいなと感じてくれて、例えば学校で友達を誘ってくれたりすると、野球人口の方にも貢献できると思う」。願うのは野球界のさらなる発展。そのために学童野球にも情熱を注いでいる。
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