“準備運動なし”で打撃練習 100種類キャッチボールも…全国16強学童が覆した「北国の常識」

2017年全国制覇…東16丁目フリッパーズは雪国の固定観念を覆し強豪へ
雪国のハンデを知恵で乗り越えてきた。北海道の学童軟式チーム「東16丁目フリッパーズ」の笹谷武志監督が、10月31日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベント「日本一の指導者サミット2025」に出演した。2017年に“小学生の甲子園”「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」を制し、今夏の同大会でもベスト16に入るなど、全国の強豪に数えられるまでになった背景には、「冬の北海道は外で練習できない」という固定観念からの脱却にあった。
14年間で計17人。東16丁目クリッパーズがこれまでに“狭き門”と言われるNPBジュニア球団に輩出した選手数だ。今年もファイターズジュニアに2人、さらに静岡に転校した選手が「くふうハヤテベンチャーズ静岡ジュニア」に合格した。
なぜここまで安定して好選手が生まれるようになったのか。それは、笹谷監督が、北国の持つ先入観を払拭したからに他ならない。十数年前の冬。大阪で「長曽根ストロングス」の練習や試合を見学した際に衝撃を覚えたという。
「大阪の冬場は暖かいイメージがありましたが、僕らからしても凄く寒い日でした。それでも、ユニホーム姿で元気に練習、試合に励んでいる姿を見て、北海道の寒さは言い訳にならないし、このままではいつまで経っても追いつけないなと思いました」
そこから、雪上でノックなどボールを使った練習を行うようになった。かつて、駒大苫小牧の香田誉士史監督(現駒大監督)が、凍てつくグラウンドで、田中将大(現巨人)らに猛練習を課し、2004年、2005年夏の甲子園連覇、2006年夏準優勝に導いた逸話はあまりにも有名。それをチームに取り入れ、雪国の常識を覆していった。
練習メニューも随所にわたって工夫やアイデアが盛り込まれている。日没時間が早いため、「平日に関しては学校で体を動かしてきているという認識」と、ウオーミングアップを省略。いきなり打撃練習から開始する。
キャッチボールもただの「肩慣らし」ではない。実戦を想定し、さまざまな動きを組み込んだ100種類以上のドリルを導入。捕球側も中継プレーやタッチプレーの動作を加えるため、双方ともに気を抜くことができない。
「適当なボールが減りました。笛の音で同時に投げるので、誰が送球ミスをしたのかが一目で分かります。子どもたちも見られているという意識があるので、より真剣に送球するようになりました」
長曽根ストロングス総監督も大絶賛「北海道の学童野球界の坂本龍馬」

同じくイベントに参加した長曽根ストロングスの熊田耐樹総監督は「昔は北海道のチームとやっても怖くはありませんでしたが、今は違います。笹谷さんは北海道の学童野球界の坂本龍馬です」と、親交の深い指揮官を絶賛。野球講演家の年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんも「試合ではきれいな形で捕って投げることの方が少ないので、こういうドリルは勉強になります」と学びを得た様子だ。
「最初にできない理由を探すと、そこで立ち止まってしまいます。与えられた環境をベストだと考え、今やるべきことを考えながらやっていけば結果は出てくるのではないかと思います」(笹谷監督)
チームの強さは、もはや環境に左右されることはない。5日間にわたって開催された「「日本一の指導者サミット」の出演者たちが、そのことを身をもって教えてくれた。
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