
創部2年目で全国大会に出場した女子中学軟式野球チームの「兵庫ヴィクトリア」
女子野球の普及に全力を注いでいる。今年8月に東京で行われた「第23回全日本女子軟式野球学生選手権大会(中高生の部)」に、創部2年目で出場した兵庫ヴィクトリア。創部当初の部員わずか4人のチームが、全国大会に出場できた理由とは? 1、2年生の若きチームを率いる申原祐樹監督は「上手い・下手は関係ない。本気で野球がやりたい子を募った」と、“嘘のない”体験会が部員増の要因になったと語る。
女子中学軟式野球のクラブチームとして活動する「兵庫ヴィクトリア」は現在、18人の部員で活動している。2023年末の創部当初は4人でスタート。申原監督は「試合どころか練習すらまともにできない人数」と苦笑いを浮かべるが、2年余りで部員は18人に増え、全国大会にも出場するほどのチームに成長した。
申原監督は19歳から学童野球の指導者を務め、その後は中学硬式ボーイズリーグや小学生の女子野球チームに携わり、指導歴は今年で30年を超える。2022年までは女子野球・神戸レッドガールズを指揮し全国制覇を成し遂げるなど、女子野球を熟知する指導者の1人だ。
実績、経験豊富な申原監督を慕い入部した選手もいるが、半数以上は初めて行った「体験会」を通じて入ったという。保護者や選手たちに好印象を持ってもらおうとすると、「楽しむ」や「保護者負担ゼロ」などを積極的にアピールしたいものだが、申原監督は「本気の子に入ってもらいたい。ある意味、厳しい部分を見てもらった」と当時を振り返る。
全体ノックでは気持ちの入っていないプレーにゲキを飛ばし、ナインは球際の打球に横っ飛び。ユニホームは泥だらけになるほどだった。選手同士も1つのプレーに対して意見を言い合うなど、野球に対する情熱をぶつけ合った。
指導歴30年超…申原監督が求めるのは「諦めない力」と「継続力」

「本音を言えば、できるだけ多くの選手に入ってほしいので、最初は賭けでした(笑)。でも、今よく言われていますが“楽しさ”の意味を履き違えてはいけない。野球が上手いだけではいけません。子どもの時は1つのことに全力で取り組む姿勢を養ってほしい。全員が上のカテゴリーで野球を続けるわけじゃないので、人間力を磨いてほしいと思っています。上手い・下手は関係ない」
グラウンドでは必死にボールを追い、男子に負けない気迫も見てもらった。そうかと思えば、休憩時間には選手が指導者に笑顔で話しかける場面も。オンとオフをしっかり使い分けるチームの姿に、自然と人は集まってきたという。
チームに所属するのは、小学生で試合に出られなかった子や、中学から野球を始めた子ら経歴は様々。初心者も経験者も関係ない。申原監督が求めているのは「諦めない力」と「継続力」だ。
申原監督は「男子も指導してきましたが、決定的な違いは女子は納得しないと『ハイ』と言わない。根性と言うと時代に反しているかもしれないが、気持ちの面でも強い子が多い」と、女子選手の気質を口にする。全国大会を経験したことで、チームの雰囲気も一層高まったという。「今しかできない、1つのことに全力を注げる選手を育てていきたい」と、指揮官は今後も女子野球の発展に力を注いでいく。
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