「肘が下がる」投手の癖をどう自覚させる? 気鋭チームが“口頭より動画”を重視する狙い

青森の少年野球チーム、八戸ベースボールクラブが実践…「一緒に考える」動作解析
「動作解析」は小学生の野球においても、選手、指導者、保護者を成長させる道具になる。2019年に発足し、2023年には“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場を果たした青森・八戸市の少年野球チーム「八戸ベースボールクラブ」(八戸BBC)は、冬のオフ期間などに、動画を活用しての選手の動作解析を行っている。「自分の姿を見る」ことにはどんな意義があるのか。
動作解析はiPadで撮影した動画をスローで見る、シンプルな形式で行う。例えば投手の肘が明らかに下がっていることが確認できれば、上げるよう指示して修正する。打撃の際に肩が開いていれば抑えるよう伝える。小学生年代は、いきなり口頭で指摘しても「肘を下げているつもりはない」「肩を開いているつもりはない」といった反応をされるが、動画を見せればすぐに納得してもらえるという。
チーム代表の山市幸大さんは「自分の姿を動画で見て『ここが良い』『ここが悪い』と言うのももちろんですが、自分を理解する機会にするというのが一番の目的です」と話す。藤ヶ森貴之監督も「教科書通りに教えて型にはめても、小学生は上手くならない。動画を見ることで改善点を子どもと一緒に考えることができます」と、そのメリットを説明する。
一方、「ラプソード」などの投球・打撃分析機器は極力使用していない。藤ヶ森監督は「数字を追いかけすぎると、大事なものが見えなくなってしまうので」と理由を明かす。
そして、この年代の投手に球速は求めない。「今は技術を覚えて、体が大きくなる中学、高校で120キロが出ればいい」との考え方で、球速アップよりも“正しい投げ方”の習得に重きを置く。昨年、八戸BBCから東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアに選出された選手も、球速は110キロに満たなかったという。
動画を持ち帰って反省し次に生かす…指導者にも求められる成長

また八戸BBCでは、動作解析を指導者の成長にもつなげている。山市さんは次のように説明する。
「指導者も選手の姿を撮影した動画を一度持ち帰って、吟味してメモにまとめて次に来た時に教えるという取り組みをしています。『今日はこう教えたけど間違っていないかな』といった振り返りができるので、指導者にも役立つ。『指導者=神』ではないから指導者も選手と一緒に成長しよう、と考えられるのがうちのいいところでもあります」
さらには保護者を成長させる意味合いも持つ。「動画を見た親御さんが子どもと一緒に一喜一憂して、一緒に頑張ってほしい。全体練習がない日をただのオフにするか、親御さんと練習する日にするかで大きく変わってくるので」と山市さん。選手、指導者、保護者の成長がそのまま、チームの成長を映し出す。
【実際の動画】大人数キャッチボールに“股抜き”ゴロ捕球!? 新進気鋭、八戸ベースボールクラブの練習の様子
【動画】
— First-Pitch -野球育成悩み解決サイト-【by Full-Count】 (@FirstPitchC2) May 12, 2025
2023年に全日本学童大会マクドナルド・トーナメント初出場👏
新進気鋭の「八戸ベースボールクラブ」の練習の様子です⚾️
掲げるのは目の前の白星以上に子どもたちの将来を考える“勝利理想主義”✨
ゴロ捕球の練習にもちょっとした工夫を凝らしています👀#少年野球 #拡がれ女子野球 pic.twitter.com/zB2Qn3KLE9
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