イチロー氏「アウト」と指摘する走塁NG行為 プロにもいるが…“基本”にも「リスクある」
日米通算708盗塁のレジェンドが沖縄・宮古高校で語った走塁技術
マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が、12月16日から2日間にわたり沖縄・宮古高で野球部員たちを指導し、日米通算708盗塁を誇る“走塁の極意”を説いた。リード時の“NG行為”としてクロスステップすることを挙げ、「シャッフル」にもリスクがあることを説いた。
走塁練習の際、「どうやってリードする?」というイチロー氏の質問に、部員が足を後ろにクロスしながらリードを取ると、「はい、アウト。クロスステップはプロでもやる人はいるが、牽制で戻れない」と指摘。また、第2リードを取る際の基本とされる、両足で飛び跳ねるようにして次塁方向に進む「シャッフル」にも、瞬間的に宙に浮く状態となるために「リスクがある」と語った。
「走塁ミスで野球の流れは大きく変わる。シャッフルで勢いをつけたいと思うが、常に動いているから目線が上下する。(状況)判断も難しくなる」
リード幅についてポイントとして挙げたのは、スタートに集中できるかどうか。「逆をつかれても頭で戻れる距離をつかむこと。リードを大きくしすぎても、帰塁の意識が強くなっていいスタートを切れない」。姿勢については、「困った時は下(下半身)にエネルギーを持っていってほしい。体が伸びてふらっとした姿勢だと、リラックスしたように見えて実は体は動かない」と語った。
走行時のフォームは「膝を上げるよりも肘を引く」意識で
一塁から二塁への走塁については、スタート1歩目の踏み出す位置が大事だと説明した。
「1歩目の左足が(一塁ベースの外側の)ラインに乗ればいい。そのためにはスタートの位置は(一塁ベースの外側の)ラインより外側に構えること。一塁手から見ると『だいぶ後ろにいるな』と思うぐらいでいい。1歩目がラインに乗れば、あとは真っすぐ走る練習をすればいい」
走る姿勢は前傾を保ち、膝を高く上げる意識より、肘を後ろに引くことで自然に下半身が連動し、足が前に出る意識が大切だと解説。NPBでもメジャーでも、盗塁成功率8割以上を誇ったイチロー氏が語る、一瞬にこだわる言葉1つ1つに、球児たちの参考になる極意が詰まっていた。