地面はつま先で「叩く」…足首の使い方を覚える「トロッティング」
走塁や盗塁は打撃、投球、守備と同じように、知識や技術を身に付けると向上する。そこで効果的なのが「ドリル」だ。西武で盗塁王に4度輝いた片岡易之(登録名は当時、現・保幸)さんら多数のプロ野球選手をサポートしてきたプロトレーナーの安福一貴さんが4日、東京・荒川区の中学軟式野球チームを指導。足を速くするドリルを解説した。
安福さんは速く走るためには技術が必要と説き、足首や股関節など体の部位を効果的に動かすドリルを考案している。プロ1年目は81試合で6盗塁だった元西武の片岡さんが3年目から4年連続で最多盗塁のタイトルを手にできたのは、安福さんの指導とアドバイスがあったからと言える。
足の速さは選手によって異なる。ただ、地面をつま先で叩く、腕は後ろに大きく振るといった技術を習得すれば、誰でも今よりスピードを上げられるという。安福さんは「走りは感覚ではなくて理論と技術」と表現する。
走る時、地面と唯一接地しているのが足の裏。その使い方を身に付けるドリルの1つには「小刻み走」という意味を持つ「トロッティング」がある。両足のかかとを浮かせて、つま先を地面につけて走る動きで、足首を柔らかく使う。前傾姿勢で膝、足首、股関節の角度や腰の高さをキープして、体が左右にぶれないように腕を振って前に進む。
トロッティングには、つま先で地面を叩く動きを磨く狙いがある。足の裏が地面と接する時間が短いほど反発が大きくなり、前に進む力が強くなるためだ。力みのない走り方にもつながるので、スピードアップが期待できる。
ベースランニング+ドリルで走塁と走力を効果的に向上
小、中学生をはじめとする日本の野球界には、反復して動きを覚えるドリルが少ない。打撃や投球でも技術的な指導や筋力トレーニングには積極的だが、ドリルを通じて効果的に力を出す体の動きを身に付けていなければ、パフォーマンスは思うように向上しない。
野球の練習で走るメニューの王道にはベースランニングがあるが、安福さんはドリルを取り入れる必要性を強調する。ベースランニングはダイヤモンドを速く走るためのコツは覚えられる一方、走力を上げる効果は薄いという。
「やることがないからという理由で、ベースランニングをしている選手やチームは少なくありません。ベースランニングは走塁の練習にはなりますが、足の速さそのものを向上させるにはドリルが効果的です。ベースランニングとドリルの日を交互にするなど、走りを磨くには目的に応じた練習が重要になります」
ドリルは地味な内容が多く、すぐに目に見える結果は表れにくい。だが、継続の先に理想の姿がある。
○安福一貴(やすふく・かずたか) 東京都出身。プロトレーナーとして、2003年に独立。約20年間、プロアスリートをメインとして、計4000人以上のトレーニングを指導。数年間のインストラクター経験と整体学、整骨学の知識を活かし、プロトレーナーに。元巨人の高橋由伸氏、西武時代の片岡易之(当時、現・保幸)氏をはじめ、多くのプロ野球選手が師事。2016年に東京・五反田にパーソナルジム「STARTUG」オープン。2020年に株式会社スタークレス設立。
○アクセス
東京都品川区西五反田1-17-3 plaza square 五反田5F
○ホームページ
https://startug.jp
○インスタグラム
https://instagram.com/kazuyasufuku57/
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