シャドーピッチングでタオルはどう使う? 超一流の投手が教える効果的な実践法

公開日:2022.01.13

更新日:2023.12.26

文:First-Pitch編集部

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 投げるための練習の代表格である「シャドーピッチング」は、タオル1枚さえあれば、1人でも、どこででもできるシンプルなトレーニング。とはいえ、漠然とタオルを振るだけでは当然、効果は得られません。子どもや選手たちに的確なポイントを伝えることができれば、指導の質は格段に向上し、チーム力の強化にもつながります。

 プロ野球のピッチャーでさえも、各々が意識を持って取り組んでいる大事な練習法。現在メジャーリーグのメッツで活躍する千賀滉大投手も、重要視しているといいます。練習の重点や取り組む際の意識について、すぐにでも実践できるポイントが詰まっています。

目次

専門家プロフィール

    ○千賀滉大(せんが・こうだい)
    1993年1月30日生まれ、愛知県出身。蒲郡高から2011年育成ドラフト4巡目でソフトバンク入団。2012年に支配下登録され、2016年から7年連続2桁勝利をマーク。2020年には最多勝、最多奪三振、最優秀防御率の投手3冠に輝いた。2022年オフに海外FA権を行使しメッツに移籍。“お化け”と称される落差の大きいフォークが代名詞。

1.シャドーピッチングとは?

 まず、なぜシャドーピッチングを行うのかという基本的な部分から理解しましょう。端的に言えば「自分自身のフォーム作り」のため。器具を用いる方法もありますが、タオルを使って行うのが一般的です。

ボールを握るようにタオルを持つ

 実際にボールを握るときに使う指2本(人差し指と中指)で、直球を投げる時のように、タオルの中央付近を握る形が最もシンプルな持ち方です。

シャドーピッチングのためのタオルの結び方

 タオルの片端をしばって玉結びにし、その丸い結び目をボールに見立てて握るように持つ方法もあります。実際にボールを握るのに近い形で練習ができます。

 2.タオルを使用したシャドーピッチングの効果

 どの家庭にもある日用品のタオルで、限られたスペースや時間でも練習ができることが利点です。シンプルながらも、様々な効果が得られます。

ばらつきを防ぎ、最適な投球フォームを確立できる

 下半身や、肩・肘の使い方、腕の振りなどを1つ1つ確認しながらタオルを振ることで、ピッチングのばらつきを防ぎ、自身に最適なフォームを確立させる効果があります。

球速がアップする

 理にかなった体の使い方を身に付けることが大前提ですが、最適なフォームの習得によって自然に球速アップも期待できます。

コントロールの改善に役立つ

 いい投球フォームの確立は、そのまま制球力向上につながります。リリースポイントを意識しながら実施することで、投手にとって大切な「低めへのコントロール」の習得につながります。

肩周りの筋肉、下半身の筋肉を強化できる

 ボールを投げるほどの強い負荷はかかりませんが、反復練習によって肩周りや下半身の筋肉に刺激が入り、ピッチングの安定に必要な筋力強化につながります。

3.基礎的なシャドーピッチングのやり方

 シャドーピッチングの基本的な効果がわかったところで、実際にやってみましょう。以下のポイントを押さえることが不可欠です。

投球動作に無駄な力が入らないようにする

 実際のボールを投げる練習だと、球威やコントロールを意識して無駄な力が入ってしまうことがあります。軽いタオルを使うシャドーピッチングでは、力むことなく一連の動作を確認することが重要です。

足を上げた時の軸を真っすぐにする

   投球動作でまず大事になるのは、前足(右投手の場合は左足)を上げた際に、後ろの軸足にしっかりと体重を乗せること。軸足から頭のてっぺんまで垂直に立てるように意識しましょう。

下半身主導での体重移動を心がける

   打つ動作同様に、投げる動作も「下半身主導」です。軸足に溜め込んだパワーを、前足を踏み込んだ際にしっかりと受け止め、上半身、さらにボールへと伝えていく意識が必要です。

肩の開きが早くならないようにする

   グラブを持つ方の肩(右投手の場合は左肩)が早く開き、打者の方向に早く胸を向けた状態で腕を振ってしまうのは、制球がバラつく上に打者からも球種が見えやすくなりNG。肩の開きを抑えるためにも、前足の踏み出す方向・位置を確認しながらステップします。

テークバック時の腕は引き過ぎず、体の横にくるようにする

   前足へ体重移動しながら腕を後ろに引いていく際、強く振りたいからと二塁方向に引きすぎると、いわゆる「アーム投げ」になり肩肘を故障する要因になります。引いた腕が自然に「L字」となって体の横にくるようにテークバックを取ります。

リリースの際に両肩と肘のラインが直線になるようにする

 腕振りの際に、肩の位置よりも肘が下がっているのは怪我の元です。両肩を結んだライン上に投げる腕の肘が位置しているかを意識しながら、タオルを振りましょう。

4. 実戦を意識したシャドーピッチングのやり方

 どんな練習でもそうですが、大切なのは「試合を想定して行う」こと。では、具体的に何を意識して腕を振るのがいいのでしょうか。

ムチがしなるように腕を振る

 自分が一番いいボールを投げられる、低めにコントロールができるリリースポイントの高さを確認し、そこで“パチン”と音が鳴るように腕をしならせてタオルを振ります。腕がムチになったような感覚を持ちましょう。

手首の向きを意識して腕を振る

 手のひらが打者の方に向いたまま腕を振ると、肩肘の故障につながります。手首の向きを確認し、小指側から打者に向けて腕を振っていくイメージで行うと、自然に腕が内旋し無理のないフォームになります。振り下ろした時には、手の甲が自然に打者の方を向いているイメージです。

試合の状況をイメージして振る

 ワインドアップ、ノーワインドアップ、セットポジション、クイックモーションと、試合状況をイメージしながら投球フォームを変えて振ってみましょう。

 少しでも効果の高いシャドーピンチングを身に付けたい人は、千賀投手も賛同・参加している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」で、多数の指導法を参考にしてみてください。簡単な無料登録で200本以上の動画が見放題。元プロ野球選手のお手本や、すぐに使えるトレーニングメニューなどが公開されています。

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5.プロが伝授する効果的なシャドーピッチングのやり方

 ここまでお伝えしてきたメリットや基本的なやり方を踏まえ、プロが伝授する効果的なシャドーピッチングの方法を紹介していきます。千賀投手ら一流のプロは、以下の点について特に意識していると語っています。

自分の動きを「リアルタイム」でチェック

 千賀投手がまず挙げるのが、シャドーピッチングを家で行う利点。「グラウンド上では自分の動きは見えないので、リアルタイムで見える家でやれるのは大きい」と言います。鏡や窓ガラスに自分のフォームを映したり、動画を撮ったり、気になる箇所を客観視しながら、じっくり行えるのが“家シャドーピッチ”のメリット。「とにかく、グラウンド上で出た反省点、できなかったことを、どうやったらできるようになるかを考えながら、家でしている」そうです。

胸のラインよりも「肘を前に出さない」

 投球動作で特に気をつけていることは、「胸のラインより前に肘を出さないこと」と言います。胸と肘のラインを真っすぐにし、そのラインよりも肘が前に出ないように身体を回しながら、腕を振っていくイメージ。「肘を前に出すと、肘と肩の連動が止まってしまい、肩肘にダメージがくる。『肘を出せ』とよく言われると思うんですけど、あまり良いことではないので、“胸から回って最後に腕が回る”イメージでやってみてください」と語っています。

タオルの握り方にも工夫

 タオルの持ち方も、アレンジひとつでさらに効果的になるといいます。千賀投手の元チームメートであるソフトバンクの153キロ左腕・笠谷俊介投手にはこだわりがあります。手の甲を上に向けた状態で人差し指と中指の上にタオルをかけ、垂れた部分を2本の指の間から上に通して、各指に巻き付けるようにします。するとタオルで指を締める形となり、より直球に近い握りになるそうです。

6.効果的なシャドーピッチングのまとめ

 練習の重要なポイントさえ間違えずに選手に伝えることができれば、あとは子どもたちが自主的に実践できるシャドーピッチング。千賀投手も「まず自分がどういう動作をしているか、見ることが大事。自分の姿を見て『私はこんな投げ方しているんだ』と知ること。家でやるにはとてもいい練習法」と勧めています。

 今回のシャドーピッチングだけでなく、意外と基本的な練習こそ“正解”が分からないもの。普段の練習メニューや課題解決に向けてどんなトレーニングをしていいか迷った時、参考にしたいのが、実績のある専門家たちの意見です。千賀投手も登場する野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」では、最先端の理論などをもとにした練習ドリルやトレーニングメニューが公開されています。簡単な無料登録で、200本以上の動画が見放題。強豪チームの指導者からも支持される“お手本”の数々が詰まっており、練習の助けになるはずです。

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