投手の踏み出す足の“悪癖”「必ずしも直す必要ない」 指導歴30年超で見えた判断基準

文:間淳 / Jun Aida

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関メディで指導…藤田真悟トレーナーはインステップを個性と捉えるケースも

 体の使い方やトレーニングを中心に野球と約30年関わり、見えてきた“答え”がある。「指導の完成形はない」。中学硬式野球で日本一を経験した、兵庫・関メディベースボール学院(以下、関メディ)の藤田真悟トレーナーが心がけているのは、選手の個性を生かした指導。一般的には修正した方がよいとされるインステップする投手も、「必ずしもステップの仕方を変える必要はない」と考えている。

 昨年、ヤングとポニー、2つのリーグで全国制覇する偉業を成し遂げた関メディは、元プロ野球選手をはじめ、専門知識の豊富な指導者がそろっている。トレーニングを担当する藤田トレーナーも、この道30年近いキャリアを持つ。

 現在52歳の藤田トレーナーは5年ほど前、「指導に完成形はない」と気付いたという。週1、2回のプライベートレッスンとは別に、関メディで多くの選手を継続的に指導することで、方向性が見えてきた。

「全ての選手に合う指導法があれば、どの選手も同じ打ち方や投げ方で結果を出せるはずです。関メディで深く選手に関わることで、体格、身体能力、体の使い方の特徴など、個々の選手にベストな指導をする大切さを強く感じました」

 藤田トレーナーは、いきなり選手にフォームやトレーニング方法を教えることはない。選手の動きを観察し、強みや直面している課題を聞くところから指導に入る。

 例えば、インステップする投手に対し、踏み出す足を捕手側に真っすぐ出すように修正を施すとは限らない。一般的には、踏み出す足を一塁側や三塁側にステップすると、軸足からの体重移動にロスが生まれると指摘される。だが、藤田トレーナーはインステップを個性と捉えるケースもある。

踏み出す足の方向の原因…ステップ以前の動きにある可能性も

「インステップやアウトステップは、修正した方が球に力が伝わりやすく、制球も安定するという考え方が基本です。ただ、インステップして体のねじりを使った方が良いタイプの投手もいます。そこを否定する必要はありません。どんな指導にも必ず賛否があります。修正した方がパフォーマンスは上がるのか、そのままの方がうまく投げられるのかを判断基準にしています」

 選手は1人1人違うため、インステップを修正する場合でも指導方法は異なる。ステップに至るまでには、立ち方から始まり、足の上げ方や腕の上げ方、体重移動や回旋動作など様々な動きがあり、課題は選手によって異なる。だからこそ、藤田トレーナーは投球フォームを細かく分析し、選手の動きのどの部分を修正すればインステップが改善するのか考える。

「インステップを直すと言っても、踏み出す足を突く位置だけ考えても改善するのは難しいと思います。それ以前の段階に原因があるケースが多いからです。選手の感覚を大事にしながら、答えを探していきます」

 課題を解決するヒントや答えは1つではない。選手の数だけ答えがある。

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