150キロでも「打たれたら何も残らない」 元ロッテ成瀬が抱く危機感と“技巧派”への転機

2021.09.18

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横浜高2年時に141キロ計測も、渡辺監督から「コントロールでいけ」

 First-Pitch編集部では少年野球の「指導」をテーマにした連載「ひきだすヒミツ」をお届けします。今回はロッテのエースとして活躍し、現在はルートインBCリーグ「栃木ゴールデンブレーブス」の成瀬善久投手兼任コーチ。成瀬の特長はボールの出所が見えにくい投球フォームと制球力。指導者としても活動する今、投手がスピードばかり追い求めることに危機感を抱いている。そのワケとは。【川村虎大】

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 テークバックが小さく、“招き猫投法”とも呼ばれるフォームから、捕手が構えたところにボールが吸い込まれていく。成瀬といえば、魅力はその制球力だった。ロッテ時代、球速は140キロ前後。独特なフォームから直球やチェンジアップを出し入れし、2007年には16勝1敗、防御率1.81で最優秀防御率、最優秀投手(勝率1位)のタイトルを獲得した。翌2008年には北京五輪日本代表にも選出された。

 そんな成瀬だが「元々、自分は速球派だと思っていたんですよ」と回想する。中学時代には軟式で130キロをマーク。横浜高に進学し、高校1年生で139キロ、2年で141キロを計測。球が遅いと感じたことはなかった。ところが、2年時に転機が訪れた。1学年下に涌井秀章投手(楽天)が入学してきたのだ。

「渡辺(元智)監督(当時)に『お前は球速で涌井に勝てないから、コントロールでいけ』って言われたんです。それが今のフォームに繋がったんです」。理解するまでに多少の時間はかかったが、素直に受け入れることができた。

「もともと、コントロールにも自信あったんです。だから受け入れられたんだと思います」。中学時代から制球を磨いてきた。そして、直球を速く見せるために、球の出所が打者から見えにくい現在のフォームに改良。ロッテ、ヤクルト、オリックスと渡り歩いたNPBで通算96勝を挙げた。

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