15年で5000チーム消滅の衝撃 学童野球の人気回復へ…本当に把握するべき「実数」

公開日:2023.07.23

更新日:2023.07.24

XFacebookLineHatena

全軟連加盟チーム数が統計開始以来初の「1万割れ」

 日本の野球界で最も多くのチームを抱える組織は、全日本軟式野球連盟(JSBB)。小学生(学童)の野球チームは、9割以上がここに加盟しているが、最新の発表による2022年度の加盟数は9842チーム。1975年の統計開始以来、初めて「1万」の大台を割り込んだことが明らかとなっている。

 この「1万割れ」が、どれだけ深刻なことなのか。カテゴリーや男女や硬式・軟式などを問わず、野球界全体の現実問題として、あらためて認識するべきだろう。

 同じく2022年度の、高野連(日本高等学校野球連盟)の加盟校3857と比べれば、まだ倍以上もある学童野球は安泰ではないかと、考える向きもあるかもしれない。しかし、比較の対象を過去からの推移に向けると、ショッキングな現実が浮き彫りとなる。

 表にまとめたのは、統計開始年から5年刻みの推移と、直近13年分の学童チーム数(JSBB登録)。2000年度から2011年度までのチーム数は1万4000台で推移してきたが、以降は概ね、減少の度合いを強めながら今日に至る。厳密には、減少が始まったのは2007年度で、当時はそれでも1万4968チームあった。それが15年連続の漸減で、昨年度はついにケタが1つ減って9842チームに。15年間で5000ものチームが消えてしまっているのだ。

 約1万5000チームが登録していた2010年当時、このような13年後をどれだけの人が予想できただろうか。当時から学童野球の現場で取材をしてきた筆者の肌感では、競技者の激減を予測する人はおろか、行く末に危機感を訴える人も皆無だった(自分も含めて)。

【次ページ】学童球児の実数は令和のいまも不明