夢は「男子の甲子園に出ること」 打撃センス光る女子ポニー選手が目指す場所

理事長杯大会で優勝した大牟田ビクトリーの佐野由奈さん

 25日に閉幕したポニーリーグの全日本選手権。第26回理事長杯決勝は、大牟田ビクトリー(福岡)と湘南クラブ(神奈川)が対戦し、5回までに4点を挙げた大牟田ビクトリー(福岡)が最終回に2点を許したが、逃げ切り勝ちで優勝を飾った。(2021年7月26日、Full-Count掲載)

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 優勝の瞬間、ダグアウト横から歓喜の輪に加わったのが、メンバー唯一の女子選手・佐野由奈さん(2年)だ。決勝で出番はなかったが、今大会で代打として2試合に出場。2回戦・羽田アローズ戦では死球、準決勝・三潴ファイターズ戦では四球を選んで出塁し、得点を挙げた。

 硬式野球を始めたのは中学生になってから。社会人野球でプレーしていた父の影響で、小学4年の秋からソフトボールを始めたという。中学でもソフトボールを続ける選択肢もあったが、硬式野球で頑張りたいという気持ちが強くなり、大牟田ビクトリーへの入団を決めた。

 チームで女子はただ1人。「恐らく本人は女子だとか男子だとか考えずにやっていると思いますよ。誰よりも頑張る子なんです」と話すのは志垣卓哉コーチ。「気持ちの強い子で、勝負強さも持っている。代打で出ることが多いんですが、ほとんど出塁するんですよ。それもヒットで。振れば大体ヒットにしてくる。打撃センスはかなりのものを持っています」と、打者としての評価が高い。

 野球の楽しさを聞かれると、佐野さんは「打った時の解放感と、アウトを獲った時の達成感です。大変なこともあるけど、そこが楽しいです」と笑顔。ともに優勝した仲間について「チームワークが良くて、1人1人が自分のいいところを知っていると思います」と信頼を置く。左翼を守る自身の長所は「周りを見て動けるところ」。米メジャーで活躍する大谷翔平投手の姿に憧れながら、日々白球を追い続ける。

 もちろん、高校に行っても野球は続けるつもりだ。今夏から女子高校硬式野球の決勝戦が甲子園で行われることになった。だが、佐野さんは「男子と一緒に野球をやって、男子の方の甲子園に出たいです」とキッパリ。「自信はある?」の問いにも「はい」と力強く言い切った。志垣コーチは「女子野球部がある高校に行ければと思っていましたが、そんなことを言っていましたか」と驚きながらも、「そのくらい気落ちが強い子なんですよ」と満面の笑み。大きな夢から伝わる野球が大好きだという気持ちがうれしいかったのだろう。

 決勝後の表彰式では、チームのために頑張った選手に贈るポニーリーグ理事長・広澤克実賞を受賞し、照れくさそうな様子を見せた佐野さん。最高学年となる来年は、ポニー大会での優勝を目指す正左翼手として全日本選手権の舞台に戻ってくる。

(佐藤直子 / Naoko Sato)