大会51発は昨年の3.6倍…小学生たちに何が起きた? 12球団Jr.トーナメントの“異変”
優勝したドラゴンズJr.は4試合で18本塁打を放った
次から次に架かる放物線――。神宮球場と横浜スタジアムで28日から3日間行われた小学生の軟式野球大会「NPB12球団ジュニアトーナメント」では、例年とは比にならない大量の本塁打が生まれた。全15試合で実に51本。数々の記録が更新された。
中でも量産したのが、優勝した中日ドラゴンズジュニアだった。チームで合計18本。28日の北海道日本ハムファイターズジュニア戦(横浜)で記録した「1試合7本塁打」、見崎賢汰くんの「1試合3発」、そして小久保颯弥くんの「大会5本塁打」は、全て新記録となった。特に小久保くんは、30日の準決勝・福岡ソフトバンクホークスジュニア戦(神宮)で、小学生用に手前に設けられた柵を遥かに越え、神宮球場の左翼席まで運ぶ特大弾で、場内を騒然とさせた。
昨年の大会では、大会通じて14本。今大会のドラゴンズジュニアより少ない。過去最多も2019年の26本だ。1試合平均3.4本塁打と、乱打戦が多くなった今大会。技術レベルが上がっているのはもちろん、バットの変化もひとつの要因として考えられる。
圧倒的に多くの選手が使用していたのが、芯の部分にウレタン素材などを使用した「複合バット」。特に、12月に少年用が発売されたばかりのミズノ社製「ビヨンドマックスレガシー」が目立った。一般的に金属よりも飛距離が伸びると言われており、鈍い打球音でも柵を越えるケースは少なくなかった。
軟式球の規格も2019年に改定。小学生用では、直径が1ミリ大きくなり、1グラム重くなった。ボール自体も硬くなり、変形を抑えることで飛距離アップにつながる。その追い風も受けたアーチ合戦。投手にとっては寒風が身に染みる大会となったが、SNSでも話題になるなど注目を集めたのも事実だった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)