おにぎり“4個増”→楽天ドラ1に急成長 横浜高の元寮母が重視した食への意識

公開日:2022.12.16

文:間淳 / Jun Aida

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渡邊元美氏は2018年まで横浜高の寮母 父は元監督の元智氏

 甲子園やプロを目指す球児を食事でサポートする中で気付いたのは、補食の大切さだった。横浜高で寮母をしていた渡邊元美さんは、食への意識で選手のパフォーマンスアップは変わると訴える。特に、楽天・藤平尚真投手は食事を見直して体が劇的に変化したという。

 渡邊さんの人生を語る上で、野球は切り離せない。父は監督として春夏5度の甲子園優勝を誇る元智さん。息子は楽天でプレーする佳明内野手。松坂大輔さんが入学した1996年から2018年まで22年間、食事で選手をサポートした。

 渡邊さんが最も大切にしていたのは、選手のエネルギー補給だった。寮の仕事に携わるようになって7、8年が経った頃、「横浜高の選手は体の線が細い」という声を耳にし、不安が芽生えた。

「選手にはバランスのいい食事を心掛けていましたが、食べる量は気にかけていませんでした。選手たちは練習量に対して食べる量が足りていないのではないかと感じました」

 今でこそ一般的な補食は、当時広く知られてはいなかった。野球部員は昼ご飯を食べた後、自主練を含めれば午後8時、9時まで体を動かす。その間に食べ物を口にしていなかった。食事は体を動かすためにも、体を大きくするためにも重要な要素だが、練習量に対して食事量が少なければ、体を大きくする分が残らない。渡邊さんは、補食として選手1人あたり2つのおにぎりを作ることにした。

「選手は練習で技術を伸ばすことに一生懸命だったので、食事のことまで考えるのは難しかったと思います。今思えば、もっと早くから補食を取り入れれば良かったと反省しています」

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