甲子園V&世界一「マイナス面あったけど」 “過度の注目”越え感じるユニホームの価値

公開日:2024.02.08

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

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神奈川県高野連の野球普及イベント「野球で遊ぼう2024」に慶応・丸田らが登場

 高校球界を席巻したヒーローたちが、野球の裾野拡大へ一肌脱いだ。4日、神奈川県横須賀市にあるDeNAの施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」で開催された、小学生以下の子どもたちを対象としたイベント「野球で遊ぼう2024」に、昨夏107年ぶりの全国制覇を果たした慶応高校の丸田湊斗外野手、八木陽内野手、渡辺千之亮外野手、延末藍太内野手、そしてBCリーグ・神奈川フューチャードリームスへの入団が決定した三浦学苑・原田京雅捕手の5人が登場。集まった約500人の小学生・未就学児や保護者と、野球を通じて交流を深めた。

 このイベントは神奈川県高野連が主催し、県内高校の野球部員のサポートを受けながら、キャッチボールやストラックアウト、スピードガン、ティーボール、塁間ダッシュなどのメニューを通して、子どもたちに野球の面白さや魅力を感じてもらおうというもの。4回目となる今回は、慶応や横須賀市周辺の高校球児たちが“指導役”を務めた。

 注目度ナンバーワンは、やはり3年生の5選手。約5時間にわたって子どもたちのキャッチボール相手などを務め、時には記念撮影やサインにも気さくに応じた。中でも、ひときわ輝いていたのが丸田だ。

 慶応の他の3選手が着用した「KEIO」のユニホームだけでもインパクトがあるが、丸田が着用したのは、U-18ワールドカップで着用した「JAPAN」のユニホーム。慶大キャンパス内に甲子園優勝旗などと共に展示されていたものを、県高野連からの依頼で取り寄せたといい、「久々に着られてうれしかったです」と顔をほころばせた。子どもたちに夢を抱いてもらう上で、これほど効果的なものはないだろう。

「野球を続けたい、友達を誘って野球を始めたいという子が増えることが第一目的。投げる、捕る、そうした単純な作業に面白味を感じてもらえるようにやりました。野球人口が減っていると言われる中で、少しでも『野球って楽しい』と思ってもらえたら、高校野球や、野球界そのものの競技人口も増えてくると思います」

“26番”の日の丸ユニの前にできた長蛇の列が、その人気度・知名度の高さを物語る。しかし、本人の中ではここに至るまでには戸惑いもあったという。

意図せず得た影響力も…ユニホーム着るうちは「プラスな方向に生かしたい」

子どもたちとの記念撮影に笑顔で応じる丸田【写真:高橋幸司】

 107年ぶりに頂点に立った昨夏甲子園では決勝戦史上初の先頭打者本塁打。U-18W杯でも初の世界一に貢献し、注目度は一気に高まった。しかし、その反動で「過度な取材もあったり、取り上げられることでマイナス面もあった。怖さを感じたこともありました」と明かす。

 野球以外の部分で重圧を受けざるを得なかった18歳の心の内は、想像を絶するものがある。それでも、この日、「JAPAN」の胸文字の前で多くの子どもたちが見せた笑顔が、また心を前向きにさせてくれたようだ。

「こうしていい方向に、影響力を使えることも学びました。意図せずに得た影響力ではありますが、ユニホームを着ての活動の中では、プラスな方向に生かしていければと思います」

 春から進学予定の慶大で、再度日本一、世界一を目指す。他の3年生たちも、それぞれのステージで高みを目指していく。彼らの活躍は、この日同じ空間を共にした子どもたちだけでなく、多くの少年・少女たちに夢を与えてくれるはずだ。

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