私財2億円…筒香嘉智が新球場創設の理由 “お手紙”で決断「自分でやったほうが」

公開日:2024.01.03

更新日:2024.01.09

文:喜岡桜 / Sakura Kioka

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2年をかけて完成したメジャー仕様の練習施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」

 第4回WBC(2017年)で日本代表の4番打者を務め、MLBのサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下でプレーする筒香嘉智外野手が、和歌山県の北東部にある出身地・橋本市に野球施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」を創設。12月上旬に竣工式が行われた。世界で活躍する人材の土台作りをする場として、総工費2億円を“自腹”で負担したという理由とは……。

 同施設は、ドミニカ共和国にあるメジャー球団のアカデミーを参考にし、世界を意識したこだわりが散りばめられている。日本、ドミニカ共和国、米国の国旗が旗めくメイングラウンドは、ロサンゼルスのドジャースタジアムと同規格(両翼100メートル、中堅120メートル)に仕上げられており、内野グラウンド(両翼45メートル)と、室内練習場(625平方メートル)も併設されている。

 さらにメイングラウンドと内野グラウンドには、ドジャースタジアムで採用されている芝生「TAHOMA31」を使用。筒香とともに二人三脚でこの事業を進めてきた兄・裕史氏が「こだわりました」と明かす内野の天然芝は、1年を通して青々とした芝生を維持するために、耐寒性と耐乾性に優れた同種と冬芝をオーバーシーディングしている。

 シーズン中は帰国が困難なため、筒香は米国からオンラインのビデオを通して建設状況などを確認してきたという。着工から約2年をかけて完成した同施設を帰国後に初めて目の当たりにし、「すごく綺麗で満足といいますか。素晴らしい施設だなと思います」と感慨深げに語った。

芝生の苗撒きをしたのは“子どもたち”…「未来を潰すのも、生かすのも大人」

 現役選手によるここまで大規模な施設の建設は、まさに規格外だ。DeNA在籍時から日本球界に対して「脱・勝利至上主義」や「保護者の負担軽減」などの改革案を提言してきた筒香だが、「いろんなお手紙をいただいたり、いろんな連絡をいただく中で、もうこれは自分でやったほうがいいなと。最終的にはその決断だったんです」と、行動を起こした経緯を明かした。

 施設建設だけでなく、4月から同施設で活動している少年野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」も立ち上げ、オーナーに就任。女子2人を含む小学1年生から6年生までが在籍している。5月には、所属選手とその保護者によってメイングラウンドと内野グラウンドに芝生の苗撒きが行われた。

「子どもですので、精一杯遊ぶと、どうしても怪我のリスクも大きくなります。逆に、怪我を回避する技を自分で身につけたり(もできます)。いろんな良い点とリスクが存在していると思うんですけど、この芝生でまず思い切ってプレーしてほしい、という思いです」

 来季もジャイアンツとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指す筒香。一方で、少年少女へ思いをめぐらせる。施設管理とチーム運営を行っているスタッフと連携を取りながら、「未来ある子どもたちです。それを潰すのも大人ですし、生かすのも大人ですので。未来を潰さない指導をしていきたいです」。子供たちがこの施設から世界へ羽ばたけるよう願いを込めた。

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