小学生の投球過多は指導者のエゴのせい 全国制覇3度の名将が懸念する怪我の低年齢化

京葉ボーイズは小学生向け野球塾も開講、チーム設立構想も

 指導者のエゴが子どもたちの未来を変えてしまうと危惧している。全国制覇3度を誇り、プロ野球選手も輩出している京葉ボーイズの関口勝己監督が少年野球を指導する際のヒントになる考え方を紹介する連載「ひきだすヒミツ」。5回目のテーマは「野球界の将来」。関口監督は自身が率いるチームを強くすること以上に気に掛けていることがあるという。

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 京葉ボーイズにセレクションはありません。希望者は全員チームに入れます。ただ、チームに入ってから「想像と違った」とならないよう、年末に入部希望者を対象にした体験会を開いています。私が基本的な動きを1時間半ほど教えて、京葉ボーイズの指導方針を知ってもらい、一緒にやりたいと思ったら入部してくださいと伝えています。

 昨年は11月から12月にかけて体験会を10回くらい開催して、全部で約300人が集まりました。例年は新年度の部員を3月まで募っていますが、1月に60人が入部したので、募集を締め切りました。十分な指導をするためには、60人が限界だと感じているからです。

 京葉ボーイズで野球がしたい子どもがたくさんいるのはうれしいことです。しかし、千葉のボーイズ全体を考えると、「1強」になるのはあまり好ましくありません。最近は部員が多いチームと少ないチームの二極化が進んでいる印象を受けます。2、3年後には合併や吸収によって、チーム数がどんどん減っていくのではないかと心配しています。

 私たちの練習場は八街市と二俣新町(市川市)にあります。入部希望者の自宅が練習場から遠い場合には、別のボーイズを紹介しています。本来は千葉のボーイズ全体で、小学生の体験会を開催して、入部を希望する子どもは自宅から近いチームに入るのが理想です。スポーツが多様化する中で、せっかく野球をやりたいという子どもがいるのであれば、協力して環境を整えるべきだと思います。

 野球人口の減少にもつながる問題ですが、気掛かりなのが怪我の低年齢化です。京葉ボーイズでは肘や肩の大きな故障を防ぐため土日の練習で30~40球しか投げさせませんし、練習後のケアも徹底しています。気になるのは、小学校のチームで1日に100球、200球と投げているところです。これは、監督の勝ちたいというエゴに他なりません。投げ過ぎが原因で、小学生で肘を手術した選手が京葉ボーイズにもいます。小学生高学年は一生のうちで最も運動神経が発達する「ゴールデンエイジ」といわれる時期です。この年代に、どんな指導を受けるのかはすごく大切になります。

 京葉ボーイズの運営母体である東都クラブは小学部の野球塾を開催しています。小学生を対象にしたチームをつくろうという構想もあります。小学校、中学校と一貫した理念で指導できれば、成長の度合いも上がると思います。小学生から高校生の年代まで同じクラブで指導できると、さらに良いですね。それだけ、指導者が及ぼすジュニア世代への影響は大きいと考えています。

○プロフィール
関口勝己(せきぐち・かつみ) 1965年4月13日生まれ、栃木県出身。小山高、明治大を経て1988年NTTに入社。NTT関東(現NTT東日本)野球部では1995年までの現役9年間で都市対抗野球大会に6回出場、社会人日本選手権に2回出場。2009年から京葉ボーイズの指導にあたる。これまでにボーイズ全国大会3度優勝、2019年には春、夏連覇を果たした。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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