大怪我で右膝は元に戻らず…元ハム外野手が少年野球に伝える「無理と無茶」の違い

公開日:2022.07.19

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

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日本ハムのアカデミーコーチ谷口雄也さんは2016年に右膝を手術

 無理と無茶。似ているようで大きく違うという。昨シーズンまで日本ハムでプレーした元外野手の谷口雄也さんは、現役時代に負った大怪我の経験をアカデミーコーチで生かそうと、第2の人生を歩き始めている。「無理はするけど無茶はしない」。怪我から学んだ考え方を少年野球の子どもたちや保護者に伝えている。

 5年以上経っても、記憶は鮮明に残っている。谷口さんは、2016年のシーズンオフに右膝前十字靭帯の再建手術を受けた。この年、日本ハムは中堅のレギュラーが故障で離脱し、谷口さんは定位置を奪うために右膝の痛みを我慢しながらプレーしていた。

「シーズンの早い時期から痛みや違和感がありましたが、ここでチャンスを掴みたいと必死でした。術後1か月間はベッドから立ち上がれない状態が続きました。退院してからも思い通りに体を動かせず、予定通りにリハビリは進みませんでした」

 膝の前十字靭帯は方向転換したり、動きを止めたりする時に重要な役割を担う。普段の生活はもちろん、プロ野球のレベルでプレーするには機能の回復が不可欠となる。まず、谷口さんは怪我をした右膝や周りの筋肉に力を入れるトレーニングや、膝を曲げ伸ばしする練習から始めた。自分の体とは思えないほど自由が利かない。階段の上り下りだけで1日のリハビリを終える日もあった。

 グラウンドに戻りたいはやる気持ちを抑えながら、地道にトレーニングを続ける日々。トレーナーやファンに励まされ、谷口さんは一歩ずつ復帰への階段を上った。そして、2018年のシーズン終了間際に1軍に帰ってきた。翌2019年5月には965日ぶりの安打を記録。だが、怪我をする前の体には戻らなかった。

【次ページへ】手術前の姿を追い求めず、術後の体でベストな方法を模索

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