部員150人をどう育成する? 強豪ボーイズが実践…出場機会を増やす“複数チーム制”

公開日:2023.02.20

更新日:2023.12.26

文:First-Pitch編集部

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「東都クラブ京葉ボーイズ」は2009年に創立…全国制覇を3度達成している

 中学硬式野球で近年、著しい躍進を遂げているのがボーイズリーグに加盟する「東都クラブ京葉ボーイズ」。2009年に創立、全国制覇を既に3度達成している。チームの活動理念として掲げているのは、選手が中心であるという考えの“アスリート・センタード”。約150人の部員に、より多くの試合出場機会を提供しようと3チームを編成するなど、選手第一のチーム運営を実践している。

 1人の監督が20~30人の選手を束ね、“上意下達”の指導が普通だった従来の野球界。そんな中、「東都クラブ」は子どもが中心のチーム作りを進め、全国でも屈指の強豪チームになった。オーナー兼球団代表を務める勝本俊朗氏は「子どもを中心にして、色々なコーチが教えていく。試合は監督がつくり、それ以外にスキルを持ったコーチがたくさんいて、管理栄養士もいる。総合力で子どもの可能性を最大限に引き出していきたい」と力を込める。

 チーム創設時の部員は18人。そこから“アスリート・センタード”の方針が共感を呼び、さらに結果も残したこともあり、部員は増えた。ここで勝本氏は新たな方策に打って出る。“兄弟チーム”の立ち上げで、元々の京葉ボーイズに加えて2017年に「京葉下総ボーイズ」、2021年に「八街京葉ボーイズ」を発足させた。専用グラウンドは千葉・八街市にあり、室内練習場も千葉・市川市に備え、練習環境も整えた。

 チーム運営の根本は「あくまでも育成がメイン」と勝本氏。ビッグタイトル獲得は目標だが「目的ではない」と語る。「一部レギュラーのためだけの運営は間違っている。選手の出場機会を増やすには3チーム必要でした」。ただ、根底にあるのは同じ目的のために切磋琢磨する“ワンチーム”であること。「公式戦に出るユニットが3つあるということです」と説明する。

 何よりも重視しているのが選手の進学。勝本氏自身が進路指導を担当し、選手に合ったベストの進路先選択に力を注ぐ。「例えば足の速い子だったら、どこどこの高校の監督さんが走塁重視で、『君に合っているんじゃないか」とか。そういったことを心掛けています」。高校野球を熟知し、関係者と強いパイプを持っているからこそ可能なことだろう。実際に選手の進路は大阪桐蔭などの超強豪校から、文武両道の名門校など多岐に渡る。

 見据えるのは、チャレンジ精神に富んだ人間を育てること。アスリートとしての活動が終えた後も「人生はある」と強調し、そのための目標を立てられるような「人格に優れた選手を育てるのが目標」と語る。ただ強いだけではない。根底にある理念が、保護者や選手を惹きつけている。

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